どんなに気をつけて保存していても、運悪くお米に虫が湧いてしまった。その時のショックと絶望感は計り知れません。しかし、ここで「もう全部捨てるしかない」と諦めてしまうのは、まだ早いかもしれません。被害の程度にもよりますが、正しい手順を踏むことで、お米を救済し、安全に食べることができる場合があります。まず、最初にやるべきことは、被害の状況を確認することです。米びつの中をよく見て、虫の数や、糸を引いて塊になっている部分(ノシメマダラメイガの仕業)がどれくらいあるかを確認します。もし、お米全体が変色していたり、カビが生えていたり、異臭がしたりする場合は、残念ながら食べずに廃棄するしかありません。しかし、被害が比較的軽微で、虫が少数見られる程度であれば、救済の可能性があります。STEP1は、「虫の除去」です。まず、お米を新聞紙などの広い場所に薄く広げます。コクゾウムシなどの成虫は、光を嫌って逃げようとするため、比較的簡単に見つけて取り除くことができます。また、お米をふるいにかけることで、小さな虫やフンをある程度ふるい落とすことも可能です。STEP2は、「卵と幼虫の死滅」です。目に見える成虫を取り除いただけでは、米粒の内部に潜む幼虫や、表面に付着した卵は残ったままです。これらを死滅させるための最も効果的な方法が、「冷凍」または「天日干し」です。お米をビニール袋に入れて、冷凍庫で数日間凍らせるか、あるいは、天気の良い日に、直射日光が当たる場所に黒いシートなどを敷き、その上にお米を薄く広げて数時間干します。これにより、高温または低温で、中に潜む虫や卵を死滅させることができます。STEP3は、「洗米」です。救済処理が終わったお米は、食べる直前に、いつもより念入りに、そして素早く研ぎましょう。虫に食われた米粒や、死骸、フンなどが、水と一緒に洗い流されます。確かに、虫が湧いたお米を食べることに抵抗を感じる方も多いでしょう。しかし、これらの手順を踏めば、衛生的には問題なく食べることができます。大切なお米を無駄にしないための、最後の手段として覚えておくと良いでしょう。