キイロアシナガバチの被害を防ぐためには、彼らがどのような場所に、どんな巣を作るのか、その特徴を知っておくことが不可欠です。彼らの巣は、スズメバチの巣とは全く異なる、非常に特徴的な形状をしています。キイロアシナガバチの巣は、お椀を逆さにしたような形や、蓮の実、あるいはシャワーヘッドのような形状をしており、たくさんの六角形の巣穴(育房)が下向きにむき出しになっているのが最大の特徴です。スズメバチのような球体の外皮はなく、巣盤が直接見えます。巣の色は灰色や茶褐色で、これは女王蜂が木の皮や朽木などを唾液でこねて作り上げた、紙のような材質です。巣作りが始まるのは春先で、最初は女王蜂が一匹で数個の巣穴を作るだけなので、非常に小さなものです。しかし、夏にかけて働き蜂が増えるにつれて、巣は急速に大きくなり、最盛期には直径15センチ以上、働き蜂の数も100匹を超える巨大なコロニーに成長することがあります。では、彼らは家のどのような場所を好んで巣を作るのでしょうか。彼らが巣作りの場所に選ぶ条件は、「雨風を直接しのげる」「開放的な空間」であることです。そのため、最も狙われやすいのが「軒下」や「ベランダ・バルコニーの天井」です。その他にも、「窓のひさし」や「エアコンの室外機の裏や下」、「あまり使われていない物置の中」、あるいは「生い茂った庭木の枝葉の間」なども、格好の巣作りポイントとなります。彼らは、屋根裏や壁の中といった、完全に閉鎖された空間を好むスズメバチとは異なり、ある程度オープンな場所を選ぶ傾向があります。もし、これらの場所に、灰色でシャワーヘッドのような巣を見つけたら、それはキイロアシナガバチの巣である可能性が非常に高いです。巣が大きくなればなるほど、彼らの防衛本能は強くなり、危険度も増していきます。巣の存在に気づいたら、むやみに近づかず、まずはその大きさと場所を冷静に確認することが、適切な次の行動へと繋がるのです。