虫に刺されて水ぶくれができた時、その後の適切な対処や、再発防止策を立てるために、原因となった虫の正体を特定することは非常に重要です。絶対的な断定は医師の診断を待つべきですが、被害に遭った「場所」や「状況」、「症状の特徴」から、ある程度、犯人を推測することが可能です。まず、「山や川、キャンプ場など、自然豊かな屋外で被害に遭った」場合。噛まれた直後に出血点があり、翌日以降に、足元を中心に、パンパンに腫れ上がる硬いしこりと、大きな水ぶくれができたなら、犯人は「ブユ(ブヨ)」の可能性が極めて高いでしょう。次に、「海岸や湿地、あるいは網戸を閉めていたはずの室内で、気づかないうちに、広範囲に無数の小さな発疹と水ぶくれができた」場合。これは、肉眼で見えにくい「ヌカカ」の仕業が疑われます。そして、「庭仕事や公園の散策中に、腕や首筋など、露出していた部分に、突然ピリピリとした痛みと共に、帯状の赤い発疹と小さな水ぶくれが現れた」のなら、それは「毛虫」の毒針毛に触れた可能性が高いです。さらに、「家の中で、アリのような虫を潰したり、払ったりした後、その部分が線状のミミズ腫れと水ぶくれになった」のであれば、犯人は「やけど虫」で間違いありません。最後に、「寝ている間に、お腹や太ももの内側など、肌の柔らかい部分に、かゆみの強い小さな発疹や水ぶくれが多発した」場合は、寝具に潜む「ダニ」が原因であると考えられます。このように、それぞれの虫には、その生態を反映した、特徴的な「犯行声明」が残されています。パニックにならず、状況を冷静に分析すること。それが、見えない敵の正体を暴き、正しい次の一手へと繋がる、重要な手がかりとなるのです。