家の中でエビみたいな虫、すなわちトビムシを発見した時、多くの人が「窓の隙間から入ってきたのだろうか」と考えます。もちろん、庭や外の土壌に生息しているトビムシが、偶然家の中に侵入してくるケースもゼロではありません。しかし、家の中で頻繁に見かける場合、その多くは外部から侵入したというよりは、「家の中で発生している」と考えるのが正解です。彼らは、自ら長距離を移動して家にやって来るのではなく、私たちの生活空間の中に生まれた「楽園」で、静かに世代交代を繰り返しているのです。では、その発生源は一体どこなのでしょうか。トビムシが繁殖するための絶対条件は、「高い湿度」と「餌となるカビや有機物」です。この二つの条件が揃う場所が、彼らの発生源となります。最も代表的な場所が、お風呂場です。浴槽のエプロン内部や、タイルの目地、排水口の周りなど、常に湿っていてカビが生えやすい場所は、彼らにとって最高の繁殖スポットです。次に多いのが、キッチンのシンク周りです。洗い物の水はねや、シンク下の配管からの湿気、そして食品カスなどが、彼らにとって理想的な環境を提供します。また、窓際の結露も要注意です。冬場に発生する結露は、窓枠やカーテンにカビを発生させ、トビムシの温床となります。意外な発生源としては、観葉植物の植木鉢も挙げられます。水をやりすぎると、土が常に湿った状態になり、土の表面や受け皿でトビムシが繁殖することがあります。これらの発生源から生まれたトビムシが、家の中を移動し、私たちの目の前に姿を現すのです。彼らはどこか遠くから来るのではありません。私たちの家そのものが、彼らを生み出しているのです。