夜間のスプレー噴射によって、キイロアシナガバチの巣が静まり返ったとしても、あなたのミッションはまだ半分しか終わっていません。駆除作業の総仕上げである「巣の安全な撤去」と、しぶとく生き残った「戻り蜂への対策」を完璧に行って初めて、本当の安心を手に入れることができます。スプレーを噴射した翌朝、まずは巣の様子を、窓の中からなど、安全な場所から遠巻きに観察しましょう。蜂が巣の周りを飛んでいないか、巣の表面で動いている個体はいないかを、最低でも10分程度は確認します。完全に蜂の活動が停止していることを確認できたら、巣の撤去作業に移ります。この際も、万が一、巣の中に生き残りがいた場合の反撃に備え、駆除時と同じ防護服を着用するのが最も安全です。長い棒などを使って巣を根元からそっと地面に落とすか、高枝切りばさみで切り落とします。地面に落ちた巣は、絶対に素手で触らず、火ばさみやちりとりを使って、用意した厚手のゴミ袋に速やかに入れます。袋の中には、念のため再度殺虫スプレーを数秒噴射しておくと、万が一の生き残りを確実に仕留めることができます。袋の口は固く縛り、お住まいの自治体のルールに従って、可燃ゴミとして処分してください。これで巣の撤去は完了ですが、まだ油断はできません。駆除の際に、たまたま巣を離れていて難を逃れた蜂が、数日間は、元の巣があった場所に戻ってくることがあります。これが「戻り蜂」です。彼らは、自分の帰るべき巣を失ったことで興奮状態にあり、攻撃性が非常に高まっているため、注意が必要です。対策として、巣があった場所の周辺に、残効性(薬剤がその場に留まり効果を持続させる性質)のある殺虫スプレーを、あらかじめ吹き付けておきましょう。これにより、戻ってきた蜂が付着した薬剤に触れて駆除されるか、あるいは薬剤の匂いを嫌って寄り付かなくなります。この戻り蜂の気配が完全になくなるまで、数日間は、その場所に不用意に近づかないこと。この一連の流れを全て完遂して初めて、あなたの家の平和は、確固たるものとなるのです。
駆除は終わりじゃない!巣の撤去と「戻り蜂」対策